ことばのオモシロ雑学!

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『こけんにかかわる』について

ことばの根元!

こけんにかかわる

について書いてみました。

 

『こけんにかかわる』

 

土地や家を売った時の売買契約証書が、「こけん」

 

 

我々日本人は、土地に対する

思い入れが非常に強く、

 

深く思い込んでどうしても

忘れ切れない国民性があり、

 

 

さらに言えば、これまでの

日本経済は長らく、土地本位制

などとも呼ばれてきました。

 

 

たしかに我々日本人が古来、

土地の所有権を重要視してきた

 

 

ことは疑いようのない事実であり、

それが言葉にも表われています。

 

 

今回の表題である この、

こけんにかかわる

 

 

という言葉もその

表れのひとつ。

 

 

たとえば、

 

 

「世間の人に合わせる顔」

 

「体裁(ていさい)

 

「体面」

 

「人の値打ち」

 

など

 

 

ひとの面目(めんぼく)に

かかわることを

 

 

こけんにかかわる

といいますが、

 

 

この「こけん」という字、

実は「沽券(こけん)

と書きます。

 

 

『こけんにかかわる』

はいつから?

 

 

時は江戸期、日本において、

家や、土地など

家屋敷を買いたい人には

 

 

町役人や五人組が立ち会いを行い、

その元で実際に土地や建物など

家屋敷の売買が完了したときに

 

 

 

売買契約書である、

沽券(こけん)」と呼ばれていた

証書(書類)が作成されていたのです。

 

 

 

また。「沽券(こけん)」は、

土地の権利証としての機能も

持っていました。

 

 

ちなみに、

 

 

「当時、お家や、土地など、家屋敷を

売ったり、買ったりすることは

普通の一般庶民には、ほぼ皆無で、

 


またその他、そこそこの地位の

ひとたちでも、一生に一度

 

 

あるかないかの

ビッグプロジェクト

だったようです。

 

 

 

はなしをもどして、

 


沽券(こけん)」は、

 

 

正式な売買契約書であり、

その土地の内容(情報)

に関する細かな事がらの他に

 

 

土地を売った時の

売買金額(代金)も

記載されていました。

 


そのため、「沽券(こけん)」は、

その土地の価値(値打ち)を証明できる

非常に大切な証書(書類)だったのです。

 

 

このことから、

 

 

「世間の人に合わせる顔」

 

「体裁(ていさい)

 

「体面」

 

「人の値打ち」など

 

ひとの面目(めんぼく)にかかわることを

 

 

沽券(こけん)に関わる

こけんにかかわる

 


という、習慣とした使い方で、長い間

広く世の中で使われる言葉となり

現代に至っているのです。

 

 

【ちょっと余談】

 

 

当時は、火事が非常に多く、

 

(消防車なんて、もちろん

ありません。一旦火事が

出れば、ほぼ全焼〜)

 

 

お家(家屋敷)などが、しばしば

消失するということがよくあり、

 

売買契約書である

沽券(こけん)」に

 

 

お家(家屋敷、建物)に関する内容(情報)は

書かれてれていませんでした。

 

 

【まとめ】

 

さすが、土地本位制の国と言われる

日本だけあって、土地や家屋について

の証書(売買契約書)が、

 

 

いつしか人々の体裁や面目、

品位を表す言葉になっていったと

いうのは、さすが日本!

 

だと思います。。